利根川水系の砂金
利根川は群馬県最北端にある大水上山が最深部の水源地ということになっています。吾妻川、烏川、渡良瀬川、鬼怒川など多数の川を合わせて、千葉県と茨城県の境で太平洋に注いでいます。なにしろ関東を七県(神奈川、東京、埼玉、群馬、栃木、茨城、千葉)とすれば利根川の流路に関係していない県は東京都と神奈川県だけなんですよね。西の源流部でほんのちょっとだけ長野県までも関わっています。流域面積は堂々の日本一ですね。
利根川は黄金の国ジパング第一位の流域面積を持っている訳ですから、流域には当然多くの産金地を期待してしまいますが、意外にメジャーな金山ってないんですよね。以前、群馬県北部に昔の金山の情報をいくつか知ることができたので調査に出かけたことがありますが、砂金としては数も少なくサイズも小さいところがほとんどでした。そんな中で一カ所だけいくらか楽しませてもった場所がありました。古くから温泉やスキーで有名な所の近くなのですが、深緑の映える渓谷で思わぬ大粒の砂金を採集して、気分よく温泉に浸かってから帰ったことがありました。
さて、砂金として金を回収しやすいのは、当然、粒の大きな砂金です。砂金の特徴として、川を流れて行くうちに大きく育つ場合があると言います。柔らかくて延展性が大きな金は川を流れるうちに粘土のように粒同士がくっつきあうようなのです。大きくて潰れた形の砂金をよく観察すると、確かにいくつかの金粒をくっつけたようにも見えてきます。
大きな金粒は老脈と呼ばれる深熱水や中熱水性の鉱床に出来るそうです。選鉱技術の低い、古い時代になるほど粒が大きくて、肉眼でも判定が容易な金を回収していたと考えるのが当然でしょうか。肉眼か、せいぜい虫眼鏡でも見える金粒を探すことを楽しみにしている私なども、結局このタイプを追いかけていることになるんでしょうね。
自然金を含めて多くの鉱物は温泉と深い係わりがあるようです。私は専門的な知識をまったく持っていませんので詳しいことは分かりませんが、地球の地殻や内部には色々な元素が含まれています。これを我々が資源として回収するためには目的の元素が濃集していなければ効率的ではありませんが、実は元素を濃集するためには、どうやら水が大きな役割をはたしているそうなのです。コンビニに行けばいつでも打っているミネラルウォーターが良い例ですが、水は色々な元素をよく溶かします。また、温度が高くなればさらにこの傾向はおおきくなります。地下深くでは圧力も高くなり水も数百度の温度まで液体のまま存在できるようになり、この熱水が地中を動き回るうちにさまざまな元素を溶かし込むのです。この熱水が地上近くまで上昇すると温度と圧力が下がり、溶けていた成分は結晶しやすい元素から順に結晶していくのだそうです。また、金のイオンは硫黄のイオンとくっついた状態で熱水に溶けていて、その硫黄イオンはさらにくっつきやすい元素に吸収され、結局取り残されたかたちで金は結晶していくものなんだそうな。そしてその生成温度は100〜 250℃。ちなみに銅や亜鉛は200〜350℃ということだ。で、最後に地上まで到達した水分が温泉ということになるようです。な〜んか、分かったような分からんような話ですが、まあ、我々生き物と同じように金も水が重要な役目を果たしているっていうことが何とも不思議ですよね。
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