多摩川水系 40
山梨県
多摩川の源流地域には戦国時代に武田信玄が開発したと言われる金山が存在しました。そのうち一番有名なのは黒川金山で、今でも坑口や多くの作業場テラス等の遺跡が残ります。その他にもおいらん淵伝説の哀話はたいへん有名ですね。 さて、この付近一帯の信玄の金鉱山は黒川金山のほか、牛王院、竜喰、丹波山金山等がありますが、20万分の1地質図を見ると何れも1500万年〜700万年に中生代(恐竜が闊歩していた時代)の地層に貫入した深成岩との境界に存在しています。鉱床のタイプとしては、境界付近のホルンフェルス(熱変成岩)や深成岩の亀裂に熱水系が形成されたことによってできたものだそうです。
当日は梅雨時ということで、どんよりとした天気でもあり、しかもこの付近一帯は極度に圧縮された峡谷地帯であるため夕方のような暗さでした。峡谷には滝音が響き、戦国時代の哀話を思うとなんとも気色の悪い雰囲気です。川床の岩盤は濃灰色と淡灰色の縞模様の砂岩。採集できた砂金は母岩から剥離して間もない新鮮な形状で厚みがあるものがほとんどですが、若干距離を流れたのかなと思わせるものがいくつか含まれていました。このことはこの川に複数の供給地が存在していることを示しているのかもしれません。 ところでこの付近には金を匂わせる地名がたくさん存在します。ゴンバ沢は金場沢。フルコンバとは古金場。セイレンバ尾根が精錬場尾根。そしてサカリ山とは砂刈山なのかななどと妄想を楽しんでいるうちに本当に暗くなってしまいました。
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