埼玉県の自然金  



























 

 

 2007年6月 秩父鉱山「山鳥」にて採集しました。秩父鉱山は有名な鉱物採集地ですので、私のような素人がいい加減なウンチクをしてもしかたありませんが、この産地は関東地方を代表する大規模なスカルン鉱床ということで、秩父古生層に貫入した第三期中新生の石英閃緑岩からの熱水などにより形成されているそうです。最盛時には、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄、マンガン等、多くの金属鉱物を産出していました。名物は閃亜鉛鉱中の糸金ですが、今回の私のサンプルは、石榴石中の石英部分から見つけたものです。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
  2009年9月 金の濃厚な露頭は、いじられた様子もなく健在でした。見込みの有りそうな部分からサンプルを頂くと、うぐいす色の石榴石と白い石英との対比が美しい鉱石から、いくつかの金粒を確認できました。

























 



 2010年9月、今夏の異常高温は9月に入ってもなお続き、これじゃたまらんと秩父奥地へ避難しました。さて、例の露頭中の金の濃集部分はだいたいの見当はついていますが、いろんな色の鉱物が入り混じったスカルン中でこれを見出すことはなかなか大変です。今回はこれの範囲をさらに絞ってみることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 濃集部はスカルン中にスポット状に点在しているようで、サンプルした部分の断面では、幅5p×長さ30p程が特に濃厚な部分のようです。深さがどのくらいまでおよんでいるのか試して見たいところですが、石は当然硬いです。そこまでの体力はありません。想像するだけにしましょう。




























 

 ところで、金に随伴している青黒く輝く鉱物はいったい何でしょうか。秩父と言えば閃亜鉛鉱中の自然金が有名ですが、これも閃亜鉛鉱なのかな?

  画像では分かりにくいですが、表面の自然金以外に石英内部にも黄金色が透き通って見えているのが大変美的です。

















 




 




 



 ここの自然金はスカルン中の石榴石や石英中にくるというのが一般的ですが、私の見た限りでは石榴石に直接張り付いているものは意外に少ないようです。  


 


























 
 鉱石の解体を進めているうちに、石英の上に可愛らしい金の球体が、ちょこんと乗っている姿を発見しました。水で洗浄しても剥離しないところをみると、球体の一部は石英にしっかりと食らいついているようです。


 





























 007年3月 秩父郡皆野町にて採集しました。正しくは砂金の部類に入りますが、自形結晶の面影を大変良く残したサンプルですので自然金のコーナーで紹介することにしました。

 結晶学の専門家ではありませんので良く分かりませんが、整った三角形は、もしかしてスピネル式双晶ってやつですかね?自信がないので近くの博物館に問い合わせしたところ、黄鉄鉱じゃないか?って返事が返ってきました。・・・でもね、自宅の庭に転がっている鉄鉱石から分離した黄鉄鉱といっしょに強酸漬けにしたら、鉄鉱石から分離した黄鉄鉱は茶色い煙を出して、アラヨッて間に消えて無くなってしまったんだよね。で、そのままもう一日浸けて置いたんだけど、こいつには何の変化もなくて、ご覧のとおり健在そのものだったんだ。まあ、写真だけ見てもらって判断できるわけがないんだけどね。



























  

 

××年××月××日 

 

 硝酸浴にも塩酸浴にも耐えた実験結果を今度は別の博物館の方に伺ってみました。そしたら金の単結晶の可能性が高いようですという返事が返ってきました。これには喜びましたねぇ。なんか、とんでもない宝物を手中にしたようでした。