金 山
西暦749年、陸奥国涌谷で百済王敬福により砂金が発見され、聖武天皇に献上たことが日本の産金のはじまりになります。当時、奈良東大寺の盧舎那仏像が製作中でしたが、この砂金による鍍金が752年の開眼供養会(魂入れの儀式)までに間に合ったことが「新日本記」に記されているそうです。以後、数百年の間、比重選鉱による砂金採取が日本における産金技術として続けられました。
15世紀末から16世紀初頭にかけて、産金技術は試行錯誤を繰り返し、鉱石から金を取り出す山金採取の技術が普及しはじめます。この頃の金鉱山は鉱石中の金粒が比較的大きく、肉眼でも確認できるタイプの中深熱水性起源と言われる鉱山であり、採掘法は風化地帯の露天掘りからはじまり、次第に坑道堀へと移行していったようです。 この時代は皆様御存じ群雄割拠の戦国時代になります。各地の雄は理想と野望、生き残りをかけて熾烈な戦いに明け暮れます。この時の軍資金として重要な産物が金であり、実力者は競って金山開発に力を入れました。中でも甲斐の武田や常陸の佐竹などはその筆頭大名と言えるでしょう。16世紀から17世紀はじめにかけて、日本は世界でも有数の産金地だったそうです。
やがて精錬技術は進み、近代になって科学的抽出法が開発されると、金粒を肉眼では確認困難な、鉱石中の成分として含有する金を抽出できるようになり、浅熱水性起源の鉱山開発が中心になりました。現在、日本で操業している金山はほとんどありませんが、唯一、鹿児島県菱刈鉱山は平均品位 50g/tという異常とも思える高品位鉱を産出中です。
ここで紹介する金山は、戦国時代の古い金山など、既に遺跡となったような金山がメインになります。
ある日、古い金山坑口にて一服していると静寂の中に・・コーン・・コーン・・と石を打つ音が聞こえたような気がしました。ふと、大岩の向こうには人影が?・・・いやいや・・・気のせいだろ?
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