荒川水系の砂金

 




 

 埼玉県、山梨県、長野県の三県を境にする甲武信ヶ岳に源を発し、秩父山地の水を集めながら秩父盆地を東流し長瀞渓谷を通過してその後、寄居町で関東平野に出る。川越市では入間川を併せて埼玉と東京の都県境を流れながら東京湾に注ぐ一級河川ということです。荒川は火山こそ存在しないが最上流には深成岩を配し、ジュラ紀から白亜紀にかけて堆積した秩父古成層と新第三紀の秩父盆地を侵食し、関東平野に出る直前に三波川変成岩帯を削っている。ずいぶんとバラエティーに富んだ地質を通過していますね。確かに長瀞あたりの川原で遊んでいると色とりどりのカラフルな石ころ達に出会えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、荒川の金の歴史は最源流部に奥秩父股の沢金山が古いようです。これは甲斐武田氏の黒川金山の枯渇により金山衆がはるばる出向いてきて開発をしたんだそうだ。中津川奥地の秩父金山でも甲斐武田氏の金山伝説があるけれど、どちらも既に武田氏は滅んでしまった後の出来事のようです。金山衆というのは特別な技術集団であって、甲斐の武田氏が既に滅んでいても金山衆だけは独自に活動していたのではないでしょうか。

 











 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



























 また、江戸時代の博学者、平賀源内も金鉱探索に入山しています。以来、断続的に金鉱が採掘され、「金山」の名称は継承されてきました。鉱山の本格的な開発は近代に入ってからで、昭和12年以後に、金・銀・銅・鉛・亜鉛・鉄鉱石など多種の鉱石が採掘されるようになり、わが国屈指の金属鉱山になりました。秩父鉱山自慢の糸金は閃亜鉛鉱に伴われて産出しました。私自身が採集したことはありませんが、ショーケースに入ったサンプルは見たことがあります。なんとも美しいものですねぇ。そして砂金。秩父鉱山下流では、ちょっと異様な形のものや糸状が多く混じります。

 

 

 

 

 

 

 




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 採集していて不思議に思うのは、中津川から荒川に合流すると突然、砂金らしい小判形に形状が変化することです。荒川本流でも中津川へ入っても、この場所からそんなに離れていない地点では微細で角の取れていない砂金が多いのです。何か特別な要因が働いているのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 秩父盆地が長瀞近くになると右岸に黒谷の和銅遺跡があります。こちらは金山ではありませんが、西暦708年には我が国にとって歴史的な事件が発生しました。武蔵の国の秩父郡で銅が発見され、それが藤原京の朝廷に献上されてきたのです。時の政府の反応は異常なほど興奮しました。元明天皇の詔勅によって年号を慶雲から和銅に改元したほどですから、まさに国家的な慶事として扱われました。銅の近くには金もあると言いますが、長瀞あたりでも金鉱脈が走っているかも知れません。

 長瀞周辺の支流で砂金採集を試みると結構厚みのある砂金が採集できるので驚きます。さらに比重選鉱時に金と同じ動きをしたクールに青白く輝く粒が時々混じっています。こいつは強酸に三日三晩漬けておいてもビクともしませんが、正体はいったい何なのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 川越で右岸から流入するのが入間川です。この川、大昔には多摩川だった時期があったようです。て言うか、多摩川は大昔に現在の青梅辺りから入間川を通過して荒川に流入していた可能性が高いようなのです。飯能周辺には飯能礫層というのがあって、石英閃緑岩が含まれています。現在の入間川上流域には深成岩の分布はないので、多摩川上流域から運ばれて堆積したということらしい。多摩川の最上流には戦国時代、甲斐武田の大金山「黒川金山」があるじゃないですか。なるほど、砂金の形状からすると相当な長旅をしてきたようにも見えます。どれもこれも平均してペラペラ。箔のような砂金は厚さ0.1ミリ程しかありません。

 

  

 

 

 

 

                                                       

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