2004'に見るF3A機の振動対策

ここ数年は年を重ねる度に機体性能が進歩し(パターンに適した能力)
また、フライヤーの技術も熱心な練習量?に裏付けられたものとして、
P-05も当初の心配が全く杞憂であったの如くこなしていますネ!しかし、
この向上の影には 素性の良い機体の性能を十分に発揮する為のF3Aビルダー
とフライヤーのたゆまない研究が続いています。それでは今回紹介する振動対策
の記事に入る前に まずジャイロの持つ2つの特性について簡単に触れてみます。

これは多少 年輩の方でしたら子供の頃にさわった覚えのある地球ゴマです。
このジャイロは回転させて軸を固定してあるジンバル以外を回しても回転面に
変化は出ません。これは"リジリティー"と言って姿勢を保とうとする性質を持っ
ている為ですネ。一方、軸が固定されたジンバルを回すと作用力はジャイロの
回転方向に90°進んだ位置に発生して回転面が傾きます、これを"プレセッション"
と言います。ヘリコプターのスワッシュプレートの動きを見てスタビとローターピッチの
関係に疑問を持った方もいると思いますが、プレセッションの原理が入っています。
さて、前置きはこの位にして ではF3A機のどこにジャイロがあるのか? と言うご質
問が聞こえてきそうなのですが、答えは正にプロペラです。現行のF3A機のENGマ
ウントはフローティングされていますが これは振動を機体に伝え難くしている他方で
機体姿勢が変化する度にジャイロプレセッションによってスラストが軸ずれします。

この機体のマウントには大変な工夫が随所に巡らしてあります。
基本的には最も新しいタイプの4st用のハイドマウントですが、コアは以前のようにバルサ
ではなくて ベニアになっています。この為 音は少し硬く響きますがバルサのものより逆
にパワーロスは少ないようです、写真の例ではハイドマウントに付属しているENGベッドを
利用してアルミの加工品を工夫し サイドとダウンのスラスト調整が容易に出来るように手
が入れてあります。更にエンコンリンケージについても振れ幅の大きなこのマウントに対応
したものになっています。そしてF1に目を移すとスラスト軸のずれを規制するテフロンリング
が振動緩衝加工を施して取り付けてあります。これが回転面の軸ずれを減らして特にロー
ルの軸通りを良くします。
こちらはYSマウントを利用して同じくバックプレート取り付けタイプとした機体の例です。ニードルの
延長ワイヤーにまで振動緩衝の工夫がしてありますが 徹底的に機体振動を取ることが現在の
F3A機の傾向です、これは各フライヤーの技量が上がってきた証明でもあります 振動のないグラ
イダーの場合を参考にすれば明らかなように微妙な調整が全て生きてきます。そして最後はENG
の燃焼状態に及んでいくわけです。今回は普段はあまり見ることのない考えられたマウントの実例
にふれて見ましたが 個人の感性で更に良いものが出てくるかもしれませんネ!
   (マウントの参考写真はG.Aの但野さんとMFGの醍醐さんを撮らせていただきました。)

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